爽やかな逃走

僕らの旅を「青春」なんて名付けて過去にすんな。

2018.02.17

 

 

眩しけりゃ眩しいほど、影も濃くなる。

当たり前だが、よく実感する。

 

甲子園だとか、オリンピックだとか、

世間ポジティブシーズンがいつの間にか苦手になった。

 

インタビューシーンなんか最悪だ。

モニター越しに映る自分の目がくすんで仕方ない。

 

スポーツは好きだし、体を動かすのだって好きだ。

けれど、大抵モニタ越しで見る輝かしい姿には、どうも足を取られる。

 

はは、いつからこっち側に来てしまったんだ。

 

このまま真っ暗になったら何も見えなくなるだろうな。

 

真っ暗で何も見えないのなら、

眩しすぎてどこ歩いてんのか分からないくらいがまだマシだ。

 

そして、今夜も刺激を欲する。

 

夢の中と書いて夢中。

もっと夢中になれ。

きっと、

前しか見えてない奴が勝ちだ。

 

大人になって、

 

あの時読んだ漫画の主人公の熱量が、

人生において必要不可欠なんだと思い知る。

 

 

 

 

 

2018.02.08

 


会わなくなった人がたくさんいるな。

 

 

あいつももうドラム叩いてないんだってな。
あいつのバンドももう解散したらしい。
あいつはギター背負って海外に飛んだってさ。


あいつは都会で、働きながらゲームばっかしてるんだと。


すり減っていく時間。背中に感じる視線。
僕を急がせる何かってやつが、最近になってようやく掴めた気がする。
名前はまだ、つけてないんだけど。


本当はきっと、
失った分だけ得るべきものがあるんだろうが、
掃き溜めみたいなこのワンルームには、新しい空気は入ってこない。

 

その穴を埋めるように消費を煽る。
電飾看板がギラついて、経済を回す。
この街では、走っていないと置いて行かれる。

 

自分の立っている場所を見る。スマホを弾く。

 

 

会わなくなった人がたくさんいるな。

 

LINEの下の方。
最後のメッセージの送り主は、
僕か相手で半々くらいだった。

 


ここで出会った何人かも、
思い出の中で都会の景色と同化するんだろうか。

 

この2年に、僕はどんなラッピングをするだろうか。

 

 


分かんないよなぁ。

 

 

 


たばこの煙を思い出す。

 

夜ばかりを、思い出す。

 

 

 

2017.12.11

空調が切れた。

雨雲がオフィスビルに流れ込んできて、

蒸した自販機のそばでは、

窓から先取りしたクリスマスが華やかで、

冬を嫌いになろうとした。

 

音楽は信仰に変わった。

思い出と一緒に信仰に変わった。

正しいとは何だろう。優しいとは何だろう。

そんなことを考えながら、

まるで自分とは違う誰かの、キーボードを打つ音が響いた。

 

明かりが消えない街。満員電車。ホームに落ちたキーホルダー。

切れかかったコンビニの電灯。

あの子が好きだったお菓子を買った。

たばこを吸う姿を思い出した。既読無視。舌打ち。

 

物質主義が蔓延。確かにあの頃はリアルだったか。

昔の夢を見る。だいたいツーアウト満塁。ベタだ。

上手く走れなくて終わる。結局、今なんだ。

 

本当は取り戻せるんじゃないか。

この怒りは原動力になるか。

君に嫌われたりしないだろうか。

僕は僕を嫌いになったりしないだろうか。

 

嘘はできるだけつきたくない。

後ろで見ている。影がずっと見ている。

 

ここに置いていくよ。全部。

このワンルームもただの掃き溜めとして。

 

もうすぐこの街を去る。

その日まで全部、捨てていく。

 

2017.10.09

 

目をつむってシャンプーをしてるときに何となくよぎった思いのまま、Instagram以外のSNSを全て消した。

 

Twitterと、Facebook

Instagram、写真が消えるのは忍びなかった。そう言えばLINEもSNSか。あれは仕方ないよな。

 

思い返してみれば随分と色んな「自分」を持っていたんだな。

 

社交的な自分。

モテたい自分。

仕事がしんどい自分。

本当はオタクな自分。

ゲーム中毒な自分。

 

どれもきっと本当で、それぞれが一人歩きするようなら、それはきっと全部嘘になる。

 

くだらない。なんてくだらないんだろう。

発信していた相手は、実は特定の人物だったりしたもんだ。アイツに、アイツに、遠回しに何かを伝えようとした。

 

嗚呼、なんてくだらない。

 

目と目、声と声、それ以外に、あんまり意味なんてないんだ。

 

電話をかけてでも話がしたい奴が、

結婚式に呼びたい奴が、

葬式に来て欲しい奴が、

いま何人いるかって話だろ。

 

それでも、皮肉なことにそういうツールで出会った友達も何人か居るもんだから、僕が此処から離れる前にもう一度くらいは会っておきたいなって思うんだ。

 

何があったわけでもない。

信じようと思うものを、少し減らしただけ。

自分の幸福を、一人称視点で見つめようとしてるだけ。

 

早く出ておいで。

 

 

2017.09.03

 

世界情勢は未だ不穏な空気を漂わせて、

日曜日、本日のトレンドは「核実験」。

 

平和ボケだとか、終末思想だとか、なんでもいいけど、

相変わらず政治家の揚げ足を取ってトピックを埋めるマスメディアを横目に、

僕はと言えば、東京を中心に広がる4色の円を眺めていた。

 

どうせ端っこに居たって、

どうせ遠くの地に居たって、

どうせなら一番真ん中で。

 

真っ黒い溜息がワンルームに飽和して、

耐えられなくなって外に出た。

 

散々嫌ったこの街も、

こんな日ばかりは空気がおいしくて、空が青くて、

明日が来ることを願った。

月曜日は嫌いだが、それでも願った。

そろそろ、笑い事じゃなくなってきた気がするから。

 

綺麗な星空で悩み事がどうでもよくなったなんてよく聞くが、

日常の終わりが上空をかすめて今を噛み締めるなんて、なんて皮肉だろうか。

 

美味しそうなケーキの写真がタイムラインに流れた。

きっと、知らない方が幸せなんだよ。

 

 

「上空を通り過ぎたミサイルは 未だ誰の心にも落下せず」

ミサイル/amazarashi

 

 

 

2017.08.02


想像ではもっと晴れやかな気持ちのはずだったんだが。
これは後悔か、罪悪感か、はたまた失望か。

 

未来は明るいかな。これからどうなるんだ。
そんなことを考えながら、小雨の中を、傘を蹴りながら歩いた。

 

イヤホンをつけて再生ボタンに指を近づけたところで、見知らぬおじさんに話しかけられる。道を聞かれたからスマホで調べてやったら「便利」だの「これからは若者が活躍する時代」だの「俺が若いころは」だの、あれこれと関係のない話を始めた。終いには「いいか!上司の言いなりになんてなるなよ!」と謎の激励。「日本の未来を頼むぞ!」と謎の責任転嫁。

 

「いやおじさん、俺、たった今辞めるって言ってきたところで」
「そんでな!俺が若いころはな!」

 

だめだ、聞いちゃいねえ。
まぁいいか。僕も少し気が紛れた。
聴こうと思っていた曲よりも少し明るめの曲を流す。

 

あいつ、本当は話相手が欲しかっただけなんだろうな。

 

 

 

少しだけ遠回りして仕事場へ戻ることにした。

 

僕は1年前、あの町を出て、この街で流されて、何度も後悔して、そして今日、ようやく自分で選んだ。今日は、初めて自分に勝った記念日なんだ。そう何度言い聞かせても、どうも気分が上がらない。

 

いっそ怒鳴ってくれれば良かったんだが、こんな時だけ妙に優しかった。引き留めたいが為かもしれない。それでもあの目は、大人が優しいときに見せる目だった。いや、もしかしたら最初からそうだったのかもしれない。目を合わせなかったのは、いつまでも拒絶していたのは、きっと僕のほうだ。本当はもっと上手くやれたんじゃないのか。これ以外にも、選択肢はあったんじゃないのか。

 

自分に勝ったとは言え、当然負けたほうも自分の中にいて、しばらくそちらに頭と体を占領される。たぶん、ラスボスはこいつなんだと思う。もはや世の中の定型文でしかない「本当の相手は自分」だなんて言葉。あれもあながち嘘ではなかったんだな。

 

もう前を向くしかなくなった。選んだのは自分だ。
本当はそんなに難しく考えなくていいんだ。
僕は、今一番大切なものと、「今」という時間を選んだ。それだけだ。

 

少しだけワクワクする。
強がりでもいい。馬鹿でもいい。笑われたっていい。
この選択を、正解と言える選択を。
それが誰かの不正解でも。

 

もう後戻りはできねーぞ。

 

2017.07.30

 

環境は人を変えたりしない。

人が環境で変わるんだ。

 

ストレスで倒れて入院した時、病院のベッドから窓に向かって、誰かのせいにすることを覚えた。

 

仕事でストレスが溜まるのはあいつのせい。

肺に穴が空いたのは奴らのせい。

これがこの街ではもはや日常茶飯事なのは社会のせい。

綺麗な景色はたくさんあるのに一向に世の中が良くならないのはこの国のせい。

僕が幸せになれないのは、世界のせいだ。

 

傷を泥で覆い隠した。

唯一、自分を守る手段だった。

すっかり汚れた心に気づいたのは、ついさっき。

新幹線の車窓から、川の向こうに高層ビルが見えた時。

 

洗い流せるだろうか。いいや、無理か。

じゃあいっそ磨いてやるくらいはできるか。

もう誰も触れたくなくなるような、僕だけのデザインをしようか。

自分だけの色で、汚そう。

 

だったら、僕の居場所はここではないよな。

綺麗な景色を知っているんだ。そこに行こう。

逃げてやるよ。

お前は逃げなかったんだろう。僕は逃げるよ。

 

喜怒哀楽の、怒と哀から逃げ続けた男の末路をそこでじっと見ているがいいさ。ざまあみろ。

 

気分がいい時に、決意表明。

これで気分がいいなんてさ、笑えるだろ。

汚れてんだよ。