爽やかな逃走

僕らの旅を「青春」なんて名付けて過去にすんな。

2017.05.28

 

なんとなく、蓋をされて生きて来たんだな、と思う。

 

なぁ、先生。

眉を剃ってはいけない理由を、髪を染めてはいけない理由を、僕は教えて欲しかったんだ。

 

なぁ、母さん。

夢には時効があるってことを、僕は先に知っておきたかった。

 

なぁ、親友。

「君なら大丈夫さ」って言った理由を、僕は聞いておくべきだったんだ。

 

時、既に遅し。いつの間にか築かれていた壁の存在に気づく頃に、僕らは「大人」になる。

 

足元に散らばるキラキラしたそれを、傷だらけのそれを、僕らが「思い出」と呼ぶそれらを、「青春」という名の箱に、綺麗にラッピングをして、しまう。

 

その箱が埃をかぶり始めた頃、君たちは人を笑い始める。いつまでもそれを大事そうに抱える僕も含めて、笑い始める。

 

此処ではないどこかを探す。それはきっと、この壁の向こうに違いない。

 

思いっきり助走をつけろ。迷うな。後ろを振り返るな。もう少し、もう少しだ。出来るだけ急げよ。

 

でなきゃ、きっとこの街に殺される。