爽やかな逃走

僕らの旅を「青春」なんて名付けて過去にすんな。

2017.12.11

空調が切れた。

雨雲がオフィスビルに流れ込んできて、

蒸した自販機のそばでは、

窓から先取りしたクリスマスが華やかで、

冬を嫌いになろうとした。

 

音楽は信仰に変わった。

思い出と一緒に信仰に変わった。

正しいとは何だろう。優しいとは何だろう。

そんなことを考えながら、

まるで自分とは違う誰かの、キーボードを打つ音が響いた。

 

明かりが消えない街。満員電車。ホームに落ちたキーホルダー。

切れかかったコンビニの電灯。

あの子が好きだったお菓子を買った。

たばこを吸う姿を思い出した。既読無視。舌打ち。

 

物質主義が蔓延。確かにあの頃はリアルだったか。

昔の夢を見る。だいたいツーアウト満塁。ベタだ。

上手く走れなくて終わる。結局、今なんだ。

 

本当は取り戻せるんじゃないか。

この怒りは原動力になるか。

君に嫌われたりしないだろうか。

僕は僕を嫌いになったりしないだろうか。

 

嘘はできるだけつきたくない。

後ろで見ている。影がずっと見ている。

 

ここに置いていくよ。全部。

このワンルームもただの掃き溜めとして。

 

もうすぐこの街を去る。

その日まで全部、捨てていく。